遠きをはかる者は富む
遠い先のことを考える者は富み、近まのことばかりを考える者は貧乏する。
遠い先のことを考える者は、百年のちのために松・杉の苗でも植える。まして、春植えて秋みのるものなど当たり前のことだ。だから富有でいられる。
ところが目先のことばかり考える者は、春植えて秋みのるものさえ、まわりくどいといって植えないで、ただ眼前の利益に迷って、まかずにとり、植えずに刈るようなことばかり目をつける。だから貧窮するのだ。
まかずにとり、植えずに刈るようなものは、眼前に利益があるように見えるが、一度とったら二度と刈れない。
ところが、まいてとり、植えて刈るものは、年々歳々尽きることがない。だから無尽蔵というのだ。
二宮 尊徳